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学生寮内カースト

ぼくは学生時代、学生寮に住んでいた。
学生寮というのはとんでもないところで、男ばかりというのもありとにかく汚く、安酒の香りと麻雀の牌をかき回す音が四六時中しているような場所だった。

さしずめ現代日本のghettoといったところである。
学生寮のエピソードにはこと尽きないし、今後も折にふれて書いていくつもりだが、今回はその中からひとつだけ…。

学生寮内には明確な身分制度が存在した。
学年が上がればあがるほど、偉い。
4年生は基本的に無敵である。
その中でもアメフト部などをはじめとする体育会の人間や、諸々の理由から留年をくりかえし寮に5年以上居座っている人間は、絶対的地位を確立していた。
なにかと理由をつけて開催される飲み会では、先輩の杯が空かないよう1、2年生は常に目を配らせていなければならないし、逆に先輩から注がれた酒は一息に飲み干さなければならなかった。
そして飲むことができるお酒の銘柄にも序列が存在した。
特に一気飲みのコールがかかった時に飲む日本酒においては
1年生:鬼ころし
2、3年生:剣菱
4年生:上善如水
のようになっていた。
(余談だけど今の今まで「剣菱」のことを「検非違使」と記憶してて、ググったらそんなお酒なかったからびっくりした)
鬼ころし…まっずいのな。
おかげでぼくは未だに安い日本酒の香りがトラウマで、飲むことができない。
今もあの伝統は受け継がれているのだろうか。
極めて劣悪な環境だったし、酒のことも含めて肯定的にはとらえられないし、二度と戻りたくはないけれど、今となっては懐かしい思い出である。(了)